ハセガワ レイ
  長谷川 礼   経営学部 経営学科   教授
■ 標題
  女性労働者の離職意向に関する職位・企業タイプ別比較分析
■ 概要
  従業員の離職は企業にとって緊要な課題である。同時に労働者にとっても、キャリア形成上、離職や転職というオプションは重大な意味をもつと考えられる。本論ではこの転職あるいは離職に影響を及ぼす要因に焦点を当てる。日本ではとりわけ、女性労働者のキャリア形成の困難さが指摘されて久しい。日本の女性管理職の割合が他の諸国における女性管理職の割合より著しく低いことも指摘されている。こうした状況を踏まえて、本論では一般職と管理職の女性正社員の比較を行う。さらに、日本の労働市場においては、日本企業と外資系企業の間で2種類の異なる経営様式が実践されているとされるため、企業タイプを導入し日本企業と外資系企業に勤務する女性従業員の比較を行う。以上、職位と企業タイプをかけ合わせた4集団において個別に階層的重回帰分析を行った。結果は管理職では日本企業と外資系企業の間で顕著な差が見られた一方で、一般職では複数の共通要因が離職意向に影響を及ぼしていることがわかった。こうした結果の背景には、企業サイドの統計的差別に基づくと推測される行動とともに、家庭における性別役割分担をベースとした暗黙的合意により惹起されたと推測される結果も得られた。
  単著   経営論集   大東文化大学経営学会   (42・43合併号),95-108頁   2022/03


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