ナカザワ ノリコ
  中澤 紀子   文学部 英米文学科   教授
■ 標題
  「There 接触節と関係代名詞の顕在化―ナーサリー・ライムの場合」
■ 概要
  17世紀前半から19世紀にかけて出版されたナーサリー・ライム集の原典(復刻版)に当たって調べた200篇余りのナーサリー・ライムを主な言語資料として、近代英語期における「there 接触節」を含む種々の「there 構文と後続節」の派生過程について考察した。 まず、Nakazawa(2003) “There Contact Clauses in English Nursery Rhymes”で提案した‘parataxis’から関係節構文に至る「派生の2経路説(Two-Way Derivation Hypothesis)」によって、近代英語期の事実が過不足なく説明できることを見た。 次に、「there 接触節」において関係代名詞が顕在化する動機付けについて、動的文法理論の観点から、次のような説明を与えた。すなわち、上記の2経路のうちの一方で‘共有構文’の原則によって派生した「there 接触節」は、その文法形式と意味の対応関係におけるパラダイム上のギャップ(paradigmatic gap)を内包しているが故に、そのギャップを埋めようとする力が働く。その結果、もう一方の経路で[接続詞+代名詞]を置き換える形ですでに出現していたwh関係代名詞に倣って、もともと存在していなかった関係代名詞が顕在化した。レフェリー制あり。
  単著   『近代英語研究』第22号(pp.71-91)近代英語協会      2006/05


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