サワダ マサヒロ
  澤田 雅弘   文学部 書道学科   教授
■ 標題
  「北魏墓誌の鐫刻について」
■ 概要
  唐以前の古典字蹟の圧倒的多数は石刻の字蹟が占めている。しかし、それら石刻の字蹟が筆蹟に近いのか、刀の表現であるのか、あるいは筆と刀による第三の表現であるのか、判然でない。この石刻書蹟が構造的にかかえる筆蹟と鐫刻の関係は、書法史の根幹に関わる問題でありながら、その研究は多くの難題に遮ぎられて空白の状況であった。北魏には複数の書風が混在する墓誌が多い現象に着目し、その混在状態を分析し、その結果を帰納的に検討して、「原蹟の個別性を正確に伝えることが鐫刻の当為であるという後世の鐫刻観は、北魏にあっては必ずしも普遍的でないこと」、また「北魏では、その鐫刻観を背景にして、鐫刻時に原蹟の個別性を抑えて刻者に潜在する個人の刀法(あるいは筆法)が表面化する構造的傾向が少なからずあった」ことを導き出した。 1~19頁
  単著   大東書道研究(大東文化大学書道研究所)7      1999/03


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