サワダ マサヒロ
  澤田 雅弘   文学部 書道学科   教授
■ 標題
  邵建初刻「劉中礼墓誌」の鐫刻実態
■ 概要
  劉中礼墓誌(唐・咸通14年、873)は、韋蟾の撰、崔筠の書。刻者は末尾に「鐫玉冊官邵建初刻」とみえる。邵建初はその兄邵建和とともに、柳公権の名碑「玄秘塔碑」(841)を刻するなど、鐫刻の名工である。本稿は旧稿「道因法師碑における刻法の混在と混在状態が提起する新たな論点」「柳公権「廻元観鐘楼銘」鐫刻初探―「邵建和刻」の一実相―」「柳公権「金剛般若波羅蜜経」の鐫刻実態について」(末尾に「強演・邵建和刻」と刻される)同様、鐫刻者名が刻される石刻の鐫刻実態を明らかにすることを目的とした。その結果、該誌の鐫刻は邵建和一人の刻ではなく、主な刻者七名を含む技能が一定でない刻者が分担したものであることが明らかになった。ただし、その中に邵建和が含まれるか否か、また含まれると仮定してその所刻がどれかについては、なお明らかでない。しかし、上記の旧稿ほかを踏まえていえば、一定規模の石刻の場合、明記される鐫刻者が独りで刻したとは到底考えづらい。なお、本稿は平成29年度科学研究費助成・基盤研究(C)「北朝隋唐碑における鐫刻実態に関する基礎的研究」課題番号:17K02323の研究成果の一部である。
  単著   大東書道研究   大東文化大学書道研究所   27,44-61頁   2020/03


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