サワダ マサヒロ
  澤田 雅弘   文学部 書道学科   教授
■ 標題
  柳公権「廻元観鐘楼銘」鐫刻初探―「邵建和刻」の一実相―
■ 概要
  1986年出土の「廻元観鐘楼銘」(836)は、令孤楚の撰文、柳公権の書で、鐫刻者は末尾に「邵建和」と明記する。しかし刻出された書風を分析すると、実際に鐫刻に当たったのは複数名である。別稿「道因法師碑における刻法の混在と混在状態が提起する新たな論点」では、道因法師碑(663)は「華原県の常長寿・范素の鐫」と明記するが、実際は二名に止まらず、混在する主な刻法だけでも五種あることを明らかにした。「廻元観鐘楼銘」の事例も、「道因法師碑」同様の現象が認められる。すなわち「廻元観鐘楼銘」の刻者として明記される名工邵建和は、「道因法師碑」における常長寿・范素鐫と同様、当該碑鐫刻グループを代表する立場と考えるのが穏当である。また「廻元観鐘楼銘」の場合、分担刻者が刻出する書風がおおむね同類であることから、邵建和が指揮する鐫刻集団による鐫刻とみられる。なお、本稿は平成29年度科学研究費助成・基盤研究(C)「北朝隋唐碑における鐫刻実態に関する基礎的研究」課題番号:17K02323の研究成果の一部である。
  単著   大東書道研究   大東文化大学書道研究所   (25),30-38頁   2018/03


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