サワダ マサヒロ
  澤田 雅弘   文学部 書道学科   教授
■ 標題
  欧陽通「泉男生墓誌」における刻法の混在―筆法に先行する刻法(刻法による新表現)の可能性―
■ 概要
  欧陽通の「泉男生墓誌」を分析し、主な刻法三類九種が混在することを検出したうえで、その各刻法の様相から次の新知見を得た。①三類には刻出する書法の類似性や分担領域に一体性が認められることから、おそらく各類に属する各刻法間には何らかの関係(刻派)があると見られること、②三類のうち欧陽通書法をもっとも具現しているのは第一類五種であること、③第二類二種には、後世の顔法を想起させる要素が濃厚であること、④第三類二種は、欧陽通の父欧陽詢の書法を具現する要素が濃厚であること。さらに、第二類二種の刻者が顔法を想起させる刻を刻出しえた理由について、欧陽通書法中の潜伏要素である可能性、旧法の継承者による表現である可能性、顔法が顔真卿に始まらない可能性の三仮説のほかに、[筆法+刻法]の混合具合から生じた第三の表現(新表現)の可能性が想定できることを論じた。
  単著   大東書道研究   大東文化大学書道研究所   22,38-53頁   2015/03


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