ワタナベ マサユキ
  渡辺 雅之   文学部 教育学科   特任教授
■ 標題
  子どもの発達と社会的関係性に関する考察
-内的可能性とその発現を重視する立場から-
■ 概要
  子どもそして人間にとって「発達」とは何か。それは隠れているものを発現させる-developことであり、同時に「子ども自身に発達の内実と方向を選びとる権利を有する(水内,2010a)」ものである。言い換えれば、発達とは自ら獲得し実現していく人間固有の普遍的権利である。一般的な表現ならば「子どもが大人になる過程の中ですくすく育つこと」が発達であり「そのための力を蓄えること」が発達保障である。それを奪うことは人権上、許されないばかりか、社会が積極的に保障しなければならない。日本国憲法ではそれを社会的「生存権」として規定している 。
生存権は「漏れなく例外なく」が前提になっており、このような考え方から、子どもの教育を受ける権利を保障するため義務教育という制度設計がなされてきた。子どもが「すくすくと育つ」ことを保障し、その環境を整えることが社会の責務であり、養育者の義務である。しかしながら、今日その環境が十分に整えられているとは言えない 。本稿においては、教育活動の根幹とも言える「発達」の概念に触れ、その促進について、主に社会と学校の関係を捉えなおす中で考察した。

  単著   教育学研究紀要 第7号   大東文化大学大学院文学部研究科教育学専攻   (7号),57-70頁   2016/06


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