タカサワ シュウイチ
  髙沢 修一   経営学部 経営学科   教授
■ 標題
  MBOにおける創業家取締役の責任と公正な取得価格の算定
■ 概要
  MBO(Manegement Buy-Out)は、「現在の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として対象会社の株式を購入すること」と定義することができ、事業承継のスキームとして活用できるというメリットを有するが、経営者の意思決定を迅速にし、上場維持に必要となる経費を削減できるという経営効果もMBOのメリットとして挙げられる。しかしながら、MBOにおいては、創業家取締役の利益違反行為を指摘する見解もあり株主代表訴訟の対象になっている。また、MBOにおいてTOB(Take Over Bid)が実施された場合、TOB価格と直近の株価との差額である「買収プレミアム」が問題となる。このMBOを巡る買収プレミアムには、①企業再編による将来的な株主価値の上昇分を反映したもの、②単なるステークホルダーからの富の移転を源泉としているものという二つの対立する見解が存在する。仮に、創業家により株式の再上場が行われたならば、創業家は、同一の株式で二重の創業者利得を獲得することが可能となる。つまり、買収プレミアムが妥当なものであると認識されなければ、株式市場を混乱させステークホルダーの利益を侵害したことの責任が問われることになる。よって、本稿では、MBOにおける創業家取締役の責任と公正な取引価格の算定について考察を試みた。
  単著   會計   森山書店   187(6),86-99頁   2015/05


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