タカサワ シュウイチ
  髙沢 修一   経営学部 経営学科   教授
■ 標題
  韓国財閥の事業承継における特異性
■ 概要
  韓国経済において重要な位置を占めているのが『財閥』の存在である。この韓国財閥は、婚縁により二重三重の血縁関係を構築し、ファミリーによる同族経営やトップダウン型のマネジメントを採用し1960年代から1970年代にかけて韓国経済の発展に寄与した。しかしながら、韓国財閥に対しては、「財閥グループへの経済力集中が進み、財閥グループの事業拡張によって中小企業の経営が圧迫されている」という問題点が指摘されている、そして、韓国財閥のファミリー経営による不透明な組織運営に対しては批判的な見解も多く、脱税と粉飾決算等の脱税事件を契機として、「CSグループ」及び三星グループ系の「CJグループ」等の財閥総帥が刑事告訴されている。ところが、財閥総帥は、脱税事件を犯しながらも失脚することなく刑事告訴後に短期間で社会復帰を果たしている。つまり、韓国財閥は、他の財閥や政治家及び官僚との間で婚縁に基づく事業承継によって財閥を支援するインフォーマル・ネットワークを構築しているが、税務事件においても婚縁ネットワークを政治的に活用している可能性を指摘できるのである。よって、本稿では、韓国財閥が関与した税務事件と婚縁ネットワークとの関連性について検討することにより韓国財閥の事業承継における特異性について論じたのである。
  単著   會計   森山書店   184(6),67-79頁   2013/06


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