オオツキ ミノル
  大月 実   外国語学部 英語学科   教授
■ 標題
  人間の言語・思考・伝達の固有特性
■ 概要
  動物の伝達体系と区別した(人間の自然)言語の設計特性に関する先行研究の批判的検討を踏まえて、人間の言語・思考・伝達のそれぞれの特性につき提言を行なった。まず、言語に関しては、同じ構造を下方に繰返し生成する「回帰性」に対して、前の命題を内部に組み込んで上方に補充していく「メタ命題性」を提案した。 次に、人間の思考を特徴づける特性として、未解明の対象自体の内部に分け入って解明する「追究性」と、あるレヴェルでは不確定なものをひとつ上のレヴェルで確定していく「超克性」を提案した。これらは、いずれも「思考の思考」に関わることであり、言語がなければ不可能なことである。 更に人間の伝達に関して、話者・聴者・傍聴者の三者を組み込んだ動態的コミュニケーション・モデルを提案し、三者それぞれに対する相互の関係性を明示した。特に話者の自らに対する関係である「自己モニター」、聴者の自らに対する関係である「チューニング(同調)・マスキング(遮蔽)」、<話者・聴者の非対称性>等々についての独自の指摘を行なった。
  単著   『言語の世界』Vol. 27, No.1/2 (pp.53-72)      2009/12


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