カワチ トシハル
  河内 利治   文学部 書道学科   教授
■ 標題
  『黄石斎手書逸詩』考
■ 概要
  黄道周の詩を、正面から論じた研究書は殆ど無い。その要因は、数量の厖大さと詩意の難解さに拠るであろうが、その中でこの『逸詩』は、わずかに二首を注解しただけだが)詩意が明解で、正しく「悲壮な挽歌」と言ってよい。黄道周自身が「遺らなくてもよいが、それでもなお遺った詩」を「逸詩」と呼んだ理由がここにあろう。明朝への挽歌であるからには、清潮には遺らない、遺るはずがないと黄道周が考えながらも今日まで遺ってきた、それが『逸詩』である。書作として、詩作として、この『逸詩』は黄道周の人生の終焉とも言うべき傑作に他ならない。
  単著   「大東文化大学紀要〔人文科学〕43」P.55-P.70      2005/03


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