ワタナベ ヨシヒコ
  渡辺 良彦   外国語学部 英語学科   教授
■ 標題
  潜伏疑問文に生じる関係節の性質とその「疑問」の解釈について
■ 概要
  本稿の目的は、(ⅰ)のような英語の潜伏疑問文(concealed question)の意味解釈について、そこで用いられている関係節([ ]の部分)の性質に焦点を当てて論じることである。(ⅰ)I don't know the kind of man[he was ten years ago]. (ⅱ)I don't know what kind of man he was ten years ago. (ⅰ)は大体(ⅱ)の間接疑問文(indirect question)と同じ解釈であると言われる。しかし、両者の解釈には重要な違いがある。本稿では、間接疑問文の意味とは異なる潜伏疑問文独特の読みがなぜ生じるのかについて考える。明らかに潜伏疑問文と見られるものは(ⅰ)のknowに後続する名詞句が〈先行詞+補部の関係節〉の構造を含むものと考え、まず、補部の関係節の関係詞、先行詞、そして関係節内の空所(gap)の性質について議論する。通常の制限関係節の空所に施される変項(variable)の解釈は補部の関係節の空所には当てはまらず、むしろ、この関係節の空所は「総称的概念」(generic concept)を表すN'(N-bar)であると主張する。本稿で重要となる考えは、「総称的概念の具体化とその具体化の前提」ということである。これが補部の関係節およびそれを含む潜伏疑問文の意味解釈の性質(上述した独特の読み)を説明してくれると考える。総頁数263頁中115-142頁。[レフェリー有]
  渡辺良彦
  単著   『言語研究』   日本言語学会   (122),115-142頁   2002/09


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