ヤマグチ ユウジ
  山口 由二   経営学部 経営学科   教授
■ 標題
  福島原発事故の除染問題について
―その費用対効果の検証―
■ 概要
  本論は、現地調査をもとに、福島第一原発の事故後の除染作業に関して、コスト・ベネフィット分析を適用した事例研究である。現在原発事故の除染は、特別除染地域で約6割がすでに完了し、除染関連費として2014年度までに1兆7千億円が支出され16年度内に累計3兆円を超える。30年間の中間貯蔵施設での管理費用を合わせると総額 5 兆円を超えることを予想した。しかし、その効果は極めて限定的で、最も広い面積を占める森林の除染による放射線の低減率は29.3~10.7%と低く、さらに林縁から20mの範囲では本格除染とは言い難い。帰宅困難地域(被災時1μSv/h以上であった地域)では、除染しても5年後の線量は居住の基準とする毎時0.23μSv/h以下にはならないことが予想される。巨額費用を掛ける除染の意味が問われている。
  ◎山口由二・八田純人・姫野俊一・小田川遥平
  共著   政経研究   交易財団法人政治経済研究所   (106),87-96頁   2016/05


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