アカイワ ジュンジ
  赤岩 順二   法学部 法律学科   准教授
■ 標題
  緊急事態をめぐる現代的論争と防御的緊急避難論
■ 概要
  刑法上の緊急避難論も、緊急をめぐる現代的論争と無縁ではない。ドイツでは緊急事態対応の一環として2005年に航空安全法が制定され、連邦国防大臣の命令により航空機撃墜を可能とした(14条3項)。しかし、その約1年後にドイツ連邦憲法裁判所は「人間の尊厳と結びついた生命に対する権利と一致しない」として同立法を違憲と判断した(BVerfG、1BvR 357/05 vom 15.2.2006)。
この経緯は激しい議論を引き起こした。その際参照軸の一つとされたのが、刑法上の緊急避難論、とりわけ、「防御的緊急避難」論であった。「防御的緊急避難」とは、(a)「『現在の危難』による侵害を、その危険源とは無関係な第三者に向ける」場合である「攻撃的緊急避難」と対比され、(b)「『現在の危難』による侵害を、その危険源自体に侵害を向ける」場合である。
本論文は、ドイツにおける2005年の航空法改正を念頭に、防御的緊急避難の刑法的評価をめぐる議論を確認するものである。

  単著   法学研究論集   明治大学大学院法学研究科   (29),25-42頁   2008/09


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