クラナカ シノブ
  藏中 しのぶ   外国語学部 日本語学科   教授
■ 標題
  輪廻転生する王の子の物語
■ 概要
  本文415頁、PP.281-316。執筆部分 281~ 316頁。平安文学論究会編。仏伝のジャータカ(本生譚)にみられる輪廻転生の思想が奈良朝の国家仏教でさかんに読誦された護国経典にみえることを指摘、わが国の天子伝は、護国経典中の<国王守護>と<輪廻転生>の思想を吸収し、『延暦僧録』天皇菩薩伝を経由して、『日本霊異記』の嵯峨天皇転生譚や『文徳実録』嵯峨皇后橘嘉智子伝へと展開してゆくことを論じた。さらに、これら天子伝に頻出する高徳の僧(高僧)が天皇の皇子(王の子)に生まれ変わるという構造は、国家仏教を背景に、天子伝が仏伝をとりいれて仏教的変質を遂げた結果、生み出されたものであり、このような仏教的天子伝においては、国王の子は釈迦同様、来世でさとりを開いてブッダとなることが約束されていることを論じた。
  単著   平安文学論究会編『講座平安文学論究第十輯 古典学研究とその広がり』(風間書房)      1994/12


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