クラナカ シノブ
  藏中 しのぶ   外国語学部 日本語学科   教授
■ 標題
  石川年足薨伝と大安寺文化圏-『顕無辺仏土功徳経』奉請をめぐって-
■ 概要
  pp.85-109 平成12年度国文学研究資料館共同研究「ブックロード-中日書籍交流のメカニズム-」の成果。『続日本紀』石川年足薨伝は、①形式を初めて完備した薨伝であり、②地方行政に功績のあった律令地方官人伝の流れをくむ良吏伝である。年足薨伝を良吏伝の仏教的変質の様相を示すものとしてとらえ、年足の仏教の質を再検討し、①出雲守在任時の玄奘訳『大般若経』六百巻の写経事業、②天平二十年玄奘訳出経典十九部の奉請を指摘した。②のうち『顕無辺仏土功徳経』が、年足とともに藤原仲麻呂の仏教的ブレインとされる慈訓の奉請経典にもみえることから、年足の玄奘訳出経典への関心が、必ずしも私的な信仰にのみ由来するのではなく、大安寺文化圏と同様、当時の政治と仏教教学の状況を反映していることを論じ、年足薨伝にみられる良吏伝の仏教的変質の背後状況をあきらかにした。 一、はじめに 二、石川年足の写経 三、『続日本紀』石川年足薨伝と良吏伝 四、石川年足による玄奘訳出経典の奉請 五、慈訓による『華厳経』別訳経典の奉請 六、むすび
  単著   王勇・久保木秀夫編『奈良・平安朝の日中文化交流-ブックロードの視点から-』(農山漁村文化協会)      2001/09


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