クラナカ シノブ
  藏中 しのぶ   外国語学部 日本語学科   教授
■ 標題
  救済の拒絶-横光利一「春は馬車に乗つて」における『聖書』の文体と論理の改変-
■ 概要
  PP.39-51 レフェリー有 横光利一「春は馬車に乗って」には『文語旧約聖書』「詩篇」の三箇所三篇にわたる引用があり、作者・横光の意図的な改変のあとがみられる。本文と「詩篇」の比較を通してこれを分析、横光のあからさまなキリスト教への反発が<霊魂の不滅と救済><神への絶対依存>の拒絶という形をとって作品中に内在することを論証した。さらに、この作品が彼の初期作品群に一貫して流れる<虚無>の論理の高揚と動揺とをモテイーフとして構成され、翌年の『花園の思想』においてそれが実質的に瓦解することを論じた。 1.はじめに 2.「詩篇」の引用と文字表記の改変 3.主題の改変  ①「詩篇」第102篇の引用改変-「汚れたバイブル」-  ②「詩篇」第6篇の引用改変-<虚無>の高揚-  ③「詩篇」第69篇の引用改変-<虚無>の動揺- 4.「花園の思想」へ-<虚無>の崩壊- 5.むすび-スイートピーの花束-
  単著   『文体論研究』第36号(日本文体論学会)      1990/03


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