クラナカ シノブ
  藏中 しのぶ   外国語学部 日本語学科   教授
■ 標題
  わが国初期僧伝の形成-『梁高僧伝』「訳経」篇の日本的変容-
■ 概要
  レフェリー有 『続日本紀』僧伝を中心とするわが国初期僧伝について、中国高僧伝の嚆矢として重要な意義をもつ『梁高僧伝』の巻首を飾る「訳経」篇の影響と日本的変容の論理を考察した。『梁高僧伝』「訳経」篇を支える「伝訳之勲(功・徳)」の理念は《訳経》のみならず《遊方》の意味をも合わせもつこと、わが国初期僧伝はこれをさらに《遠来》へと変容させることによって、中国高僧伝のたてた仏教史を継承するとともに、日本独自の高僧像を創出したことを指摘、わが国初期僧伝におびただしくみられる類型表現は、矛盾相剋しつつも中国高僧伝からの自立をはかろうとする文学営為であることを論じた。 一、はじめに-上代漢文伝から和文物語へ 二、『梁高僧伝』「訳経」篇の理念-《訳経》および《遊方》 三、『南天竺婆羅門僧正碑并序』にみる日本的変容-《遊方》から《遠来》へ 四、『続日本紀』僧侶物化伝の物語性-《遊方》の物語化をめぐって 五、わが国初期僧伝の矛盾相剋
  単著   『仏教文学』第15号(仏教文学会)   PP.45-64 頁   1991/03


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