クラナカ シノブ
  藏中 しのぶ   外国語学部 日本語学科   教授
■ 標題
  題画詩の発生-嵯峨天皇正倉院御物屏風沽却と「天台山」の文学-
■ 概要
  PP.17-36 レフェリー有 『文華秀麗集』巻下 雑詠「冷然院各賦一物、得澗底松/曝布水/水中影」奉和応制詩群三首について、第一に『文選』「遊天山台山賦」をはじめとする六朝唐代の<天台山>をめぐる山水詠や、わが国の『懐風藻』以来の<吉野>をめぐる老荘神仙の趣をもつ山水詠の系譜に連なること、第二に山水画を題とする題画詩詠として『経国集』「青山歌」「清涼殿画壁山水歌」に先立つことをあきらかにした。さらに、この詩群の成立と、弘仁五年(814)九月、嵯峨天皇による正倉院御物屏風三十六帖の沽却に際して行われた屏風名の唐風改称との関連を指摘、この詩群は正倉院の山水画屏風を天台山の絵に見立てて「天台観図」と改称し『六臣注文選』に依拠しつつ「遊天山台山賦」の趣向を模して詠作された、わが国初の題画詩であることを論証した。
  単著   『国語と国文学』第65巻第12号(東京大学国語国文学会)      1988/12


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