タカハシ ススム
  高橋 進   スポーツ・健康科学部 健康科学科   教授
■ 標題
  柔道初心者における安全のための大外刈りの決めの技術 :片手保持および両手保持
■ 概要
  本研究は、はじめに、熟練者を被験者に大 外刈りの試技を行い、決めの技術の種類を、 外観法による印象分析を行い検討した。その 結果、熟練者の大外刈では、片手保持、および 両手保持がみられ、両手保持が片手保持に比 べ多い傾向があることを明らかにした。 次に、熟練者を被験者に大外刈りの試技を 行い、大外刈りの決めの局面における、片手 保持、および両手保持の適切な方法を質問紙 における評定平均値と自由記述の分析により 検討した。その結果、大外刈りの決めの局面 で、片手保持は取りが身体を立てた姿勢で高 い位置に引き上げる方法が、両手保持は取り が身体を前傾させた姿勢で低い位置に引き
上げる方法が、受けの頭頸部の固定度を高め、 頭を打つ不安および取りの違和感を低くする うえで効果的であることを明らかにし、これら の方法が安全のために適切であることが示唆 された。 そして、初心者を被験者に大外刈りの試技 を行い、大外刈りの決めの局面における、片手 保持、および両手保持の安全性を、質問紙に おける評定平均値と自由記述の分析により検 討した。なお、片手保持、および両手保持は、 本研究で明らかにしたそれぞれに適切な方法 を用いた。分析の結果、初心者の大外刈りに おいて、片手保持、および両手保持はいずれ も、頭頸部の固定度が高く、頭を打つ不安が 低いことを明らかにし、これら二つの技術は安 全のために効果的であることが示唆された。ま た、片手保持と両手保持を比較分析し、両手 保持が片手保持に比べ頭頸部の固定度が高 く、頭を打つ不安が低いことを明らかにした。こ の知見は、初心者の大外刈りにおいて、両手 保持が片手保持に比べ、より安全のために効 果的であることを示唆する。

  ◎三戸範之・野瀬清喜・松永大吾・高橋進
  共著   埼玉武道学研究   埼玉武道学会   10,38-45頁   2017/03


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