ヤマグチ シオ
  山口 志保   法学部 法律学科   教授
■ 標題
  「アメリカ契約法における約束的禁反言の位置づけ-最近10年間の論争について-」
■ 概要
  契約交渉破棄事例で、破棄した側に損害賠償責任を課す根拠として適用されてきた約束的禁反言に関する、近年までの諸学説を整理したものが、本著となる。これまで契約上の債務を認められないため、例外的に正義の観点から約束的禁反言は適用されるべきであり、それが契約社会に資するものとされてきた。 従来の学説では、「信頼」と「約束的禁反言」との捉え方を、同一次元とするか異次元とするかとの点で議論が分かれていた。前者は主として法と経済学派により、後者は新古典主義学派や批判法学派によってとられていた。しかしいずれも、契約交渉の進展の仕方への着目はされていなかった。 2003年以降、ようやく契約交渉の進展度合いに着目されるようになり、学派の対立を超えて、保護されるべき信頼が築かれた当事者間だからこそ、損害賠償が認められるのであり、このような信頼なくして約束的禁反言適用が適用されるのは例外的だとの認識が得られるようになった。
  単著   大東法学52号(2008年10月号)      2008/10


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