ユウキ ヨシノブ
  湯城 吉信   文学部 歴史文化学科   教授
■ 標題
  五井蘭洲による伊藤仁斎批判―『非伊編』(総論部)翻刻・訳注
■ 概要
  『非伊編』は、江戸時代の儒者・五井蘭洲が伊藤仁斎を批判した書である。この『非伊編』は有名なものであるにも関わらず、これまでほとんど研究されていない。それは、その内容には人格批判が含まれており、また細かい訓詁を問題とするものが多いからであろう。ただ、蘭洲がこのような批判をしたことには理由がある。人格批判をするのは、人格が当時の学問で一番重要だったからである。もっとも、『非伊編』の内容は、人格批判や訓詁上の問題だけではない。本稿では、その中心思想が見られる冒頭の総論部分の翻刻・注釈・現代日本語訳を提供した。蘭洲が仁斎を否定する中心は、仁斎が道を人倫日用の道に限り卑近なものだと考えた点にある。一方、蘭洲は道(や人の性)は天に由来する高遠なものであると考えていた。蘭洲にとって、仁斎の姿勢はわかりやすくすることで民衆にこびるものであった。蘭洲の仁斎批判は、「土橋宗信に与える書」にも端的に説明されているので、本稿では附録として掲載した。
  湯城 吉信
  単著   懐徳堂研究   大阪大学懐徳堂センター   (15),3-20頁   2024/02


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