ユウキ ヨシノブ
  湯城 吉信   文学部 歴史文化学科   教授
■ 標題
  陳徳による嘉慶帝刺殺未遂事件について
■ 概要
  本稿では、当時の取り調べ記録を主材料に、陳徳の嘉慶帝刺殺未遂事件(一八〇三年)の実態に迫った。陳徳は多くの役人に仕え、紫禁城でも働いたことのある最下層の雑役であった。生活に困り、自暴自棄になる中で、華々しくまた即座に死ねる場として、皇帝の警護への突撃を考えた。そして、紫禁城の状況を理解していたことによりいとも簡単にそれを成し遂げた。その後、陳徳のイメージは、時には比類なき武術の達人として、時には悪逆非道なダークヒーローとして、民衆の中で増殖していくことになる。朝廷側の粗暴で悪逆非道な陳徳像も、民間のヒーローとしての陳徳像も、ともに陳徳の実像を表すものではない。本稿では、陳徳個人の実像を探るよう試みた。『中国関係論説資料』に採録。
  湯城 吉信
  単著   大東史学   大東文化大学歴史文化学会   (3),37-70頁   2021/03


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