ユウキ ヨシノブ
  湯城 吉信   文学部 歴史文化学科   教授
■ 標題
  「専言」「偏言」から「泛言」「専言」へ―中井履軒による朱子学用語の換骨奪胎
■ 概要
  履軒は、朱子学によりつつもそれを絶対視せず、否定すべきは否定している。彼の『雕題』『逢原』には、朱子学に対する押さえきれない疑問が表出されている。履軒は、徐々に朱子学の軛から解き放たれ、自説を形成していったのである。本稿では、履軒の思想の変化を表す典型例として、彼の仁解釈を取り上げた。最初、履軒は、朱子学の「専言」「偏言」という用語をそのまま使った。だが、「専」「偏」には価値が含められており、本来、履軒の考えを表現するのに不適当であった。そこで、価値観を含まない中立的な言葉を選び「泛」「専」に変更したのである。
  湯城 吉信
  単著   『中国学の十字路』   研文出版   702-715頁   2006/04


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