ムトウ シンイチ
  武藤 慎一   文学部 歴史文化学科   教授
■ 標題
  The Exorcism in the Newly Found Khara-Khoto Syriac Document
■ 概要
  「ハラホト新出土シリア語文書における悪魔払い」:ハラホト新出土シリア語文書は実践面にも特徴があるが、本研究では悪魔払いとその救済論に注目した。まず、魔術によって悪霊に束縛されている人々が登場する。神名による彼らの力動的解放が主要テーマになっている。救済が悪魔払いとして捉えられていたのである。
 これは、個人や集団単位だけではなく、悪霊に対する神の最終的勝利、という宇宙規模でも祈願されている。集合的に地上世界全体から地下世界に向けての悪魔払い、さらに終末論的に時空全体からの究極的悪魔払いとして捉えられている。この魔術関連語彙の頻出という特徴は、メソポタミアと中国の間のいずれかの地域の影響による。この思想の中心は初期シリアに由来するが、天使論、悪魔論、霊性論的観点からの独自の特徴も明らかになった。

  Li Tang/Dietmar W. Winkler (ed.)
  単著   Winds of Jingjiao: Studies on Syriac Christianity in China and Central Asia   Lit Verlag   147-151頁   2016


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