オオスギ ユカ
  大杉 由香   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   教授
■ 標題
  「戦前の統計等に見る児童救済の実態―東京及び東京以外の全国の間に存在した棄児をめぐる救済格差問題の変遷―」
■ 概要
  明治期から1930年代にかけて棄児救済は減少傾向にあり、東京もその例外ではなかったものの、全国の棄児の公的救済において東京が占める割合は日露戦後に次第に高まり、その傾向は戦間期も続いた。さらにそれだけでなく、東京を除く全国と比較して、東京では棄児1人の救済金額も2倍から3倍ほど多く、特に地方費による救済の手厚さが目立ったが、東京の中でも東京市と東京府下では救済格差が存在し、後者で棄児の死亡率が高かったことを本稿では明らかにした。また救護法は近代的な公的扶助として、通説では評価が高いが、救護法施行後、東京における地方費救済を受けていた棄児は、救済金額を大幅にカットされたことが分析から浮かび上がってきた。さらに救護法の適用方法が、家族の中でも救済金額が安くて済む児童を優先的に救済し、結果として救済費を抑制するために子どもが利用されていた実態も実証した。
  単著   部落問題研究   公益社団法人 部落問題研究所   (238),22-51頁   2021/09


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