オオスギ ユカ
  大杉 由香   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   教授
■ 標題
  「戦間期から戦時期の都市部におけるインテリ層が運営した児童愛護NPOの実態―大阪児童愛護聯盟機関誌『子供の世紀』から見えてきた民間児童愛護事業の役割と限界―」
■ 概要
  戦前日本の中間層を対象としたNPOに関する研究は僅少で、かつこれらの創始者を称える傾向があり、批判的検証が殆ど行われてこなかった。しかも戦前においては、貧困児童を対象とした社会事業と中産階級による児童・母子向けの社会事業というように階級分裂的であったが、それが何を意味することになったのかについても、先行研究は検討してこなかった。そこで本稿は、戦間期に中間層の乳幼児育児に多大な影響を与えたと考えられる大阪児童愛護聯盟の活動を検証したが、事務方による事実上の組織私物化、権力との癒着が明らかになったうえ、かつ彼らの児童観・社会観が国家主義的になっていく過程を実証した。そしてこうしたNPOのあり方は現在も続いており、国家と対峙して子どもの人権を擁護するという欧州の動きとは対照的に、行政の補完物に近い状況があり、本稿はその歴史的ルーツを探ったものである。
  単著   大東文化大学紀要   大東文化大学   (58),161-176頁   2020/03


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