オオスギ ユカ
  大杉 由香   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   教授
■ 標題
  「戦前日本における苛烈な人権抑圧と貧困問題~―大東文化大学板橋図書館大河内文庫所蔵「足尾鉱毒事件資料」を軸に―~」
■ 概要
  大河内文庫に所蔵されていた「足尾鉱毒事件資料」の外形・中身を検証した研究。なお大河内一男の視点から見ると、「社会的総資本概念」に象徴されるように、あまり個別の人間や個別地域問題を扱わない彼が何故「足尾鉱毒事件資料」を所有していたのかという疑問にぶつかる。そこで本稿ではその点に関する考察と、「足尾鉱毒事件資料」に収納された資料から何が見えてくるのかに焦点を当てた。結局、所蔵資料は、彼と深い交流があった今村力三郎から譲り受けたと思われること、「足尾鉱毒事件資料」の箱から発見された3枚のメモは東京大学経済学図書館・資料室に1次資料を入れるための準備メモであったこと、川俣事件の前後に書かれたものが多く、問題が遊水地化に移行してからの物はない等を明らかにした。またこれらの資料からは、貧困者の中でも搾取する側とされる側といった分解が起きたこと、あまり従来言われていないものの、女性や子供の被害がかなり深刻であった点もある程度実証し、今後の研究課題を明確にした。
(論文構成)
はじめに
1.大河内一男と足尾鉱毒事件
2.大河内文庫所蔵の「足尾鉱毒事件資料」の箱とメモからの推察
3.「足尾鉱毒事件資料」に収納された資料の内容とこれらの特徴、残された課題
4.「足尾鉱毒事件資料」と先行研究を照合させて見えてきた問題点―弱者の中の弱者への視点をめぐって―

  単著   大東文化大学図書館HP 大河内文庫合同研究会に掲載   1-15頁   2016/10


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