オオスギ ユカ
  大杉 由香   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   教授
■ 標題
  「近代日本の福祉問題の歴史的特質―事例研究(戦間期における名古屋市及びその近郊と大阪市)から現代への連続と断絶を考える―」
■ 概要
  2014年10月26日に実施された第52回部落問題研究者全国集会歴史Ⅱにおける報告を整理・拡大してまとめたもの。章立は以下の通りである。
1.問題意識および先行研究の動向
2.名古屋市と農村社会との関係
(1)愛知県社会課発行、昭和3年2月調査資料第11編「農村社会事業調査 第二編」が示す市周辺の農村社会問題
(2)小括
3.名古屋市と大阪市における社会事業活動の比較―都市共通の特徴と各都市が持つ固有な特徴の間で―
(1)社会事業施設に見られる各都市の特徴
(2)方面委員の担い手とその活動
①方面委員の担い手について
②方面委員が扱ったケースから見えてくる両市の特徴
4.朝鮮人問題をめぐって―二つの地域の問題対応の相違は何処から来たのか―
5.おわりに―戦前・戦後の断絶面と連続面から見えてくる福祉問題の歴史的特質
 なお、この論稿では、(1)各都市が持つ社会経済的構造と救済のあり方が大きな関連を持っていること(通常の家庭に不幸が重なって一気に社会的に転落したケースが多く、かつ市で抱えきれない貧困者を東京・大阪に移動させるといった地方都市的な特徴を有した名古屋市と、雑業層を多く抱え、彼らの労働市場に入り込んできた朝鮮人問題も一層深刻であったがために、旧来の地域名望家のみならず、新興中間層や警察等も介入しながら社会事業が展開された大阪市)(2)住所不定の最も窮迫した貧困者への対策は戦後も連続して不備なままであること(3)在日朝鮮人に対する社会的包摂が未だに不十分な問題を明らかにした。

  単著   部落問題研究   部落問題研究所   (213),88-134頁   2015/08


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