オオスギ ユカ
  大杉 由香   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   教授
■ 標題
  「戦前日本における火災問題―過去の火災は現在に何を物語るのか―」
■ 概要
  現在、火災に関する研究は最新技術にのみ注目する傾向が強い。他方、消防史・都市計画史の視点からも火災研究は進んでいるものの、それぞれの被害発生地域のみに注目しがちで、戦前日本において火災自体が如何なる社会経済的特徴を持ち、何処に現代につながる教訓があるのかが見えにくい特徴がある。本稿では火災が東高西低の傾向にあること、さらにその一因には関東地方を中心とする放火率の高さを挙げた。なお、その理由として西日本では名望家を軸とした人間関係の社会的再編が早い時期に始まっていたことが放火を抑制する結果になったのに対し、東日本ではその再編が遅れたことが挙げられ、結局東日本では1930年代に官の圧力が強まるまで放火率は低下しにくい傾向があった。さらに放火と景況がほぼ反比例関係にあることも実証した。
  単著   『東洋研究』   大東文化大学東洋研究所   (177),31-50頁   2010/11


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