オオスギ ユカ
  大杉 由香   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   教授
■ 標題
  「日本経済史の視点から見た経済政策-何を見つめ何を看過したか-」
■ 概要
  国や地方財政の債務残高が増える中で、現状分析の研究者はいささか自分の立場に都合の良い形で歴史を語りがちであるが、それに対し、経済史研究者の捉え方はどうなのかに焦点を当てている。まず経済史上に残る経済政策の多くは失敗に終わるケースが多かったことを示すと同時に、経済史研究者は比較的客観的に過去の政策を捉えているものの、中央政府の経済政策のみに焦点を当てがちで、地方財政や生活問題を切り口にして過去の財政や経済政策のひずみを考えることは少なかったことを述べた。そしてこれらの視角を軸にして、現在の問題と照らし合わせた場合、国からの税源移譲をするだけでは、税の無駄遣いはなくならないこと、また国債費増加による財政硬直化はかつての秩禄処分前の状況に似ている点を指摘した。まさに今は産業優先主義の政策から、セーフティネットの形成を中心にした政策転換が必要であることを強調した。
  単著   『企業診断』51巻11号、同友館、p.106-p.110      2004/11


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