ギャレン ムロイ
  ギャレン ムロイ   国際関係学部 国際関係学科   教授
■ 標題
  「ロイヤル・ネイヴィーとパクス・ブリタニカ」田所昌幸(編集)
■ 概要
  第3章「19世紀のRMA」pp.83~114。19世紀のロイヤル・ネーヴィーは、技術面では極度に保守的で、ヴィクトリア朝に特有の伝統墨守主義に囚われていたとする見方が有力である。ロイヤル・ネーヴィーは発明を軽蔑し革新に対して猜疑心を持ち続けた反動的な組織であり、新たな技術に投資した時も、それは外国からの挑戦に受動的に反応したにすぎなかったというのである。このような見方はおおむね正確だが、ロイヤル・ネーヴィーを制約していた厳しい財政的および作戦上の条件を無視しているし、ロイヤル・ネーヴィーが多くの賢明な投資をしたことも見逃している。海軍省はたしかに反動的だったが、この途方もない技術革新の時代を、限られた資源でかつてないほどの世界的な規模の海軍力の優越を維持したのも事実なのである。パックス・ブリタニカの黄昏は近づいていたが、19世紀のロイヤル・ネーヴィーは比較的安上がりにユニークでグローバルな兵力へと発展したのである。
  有斐閣・東京   有斐閣      2006/04


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