モリ トシキ
  森 稔樹   法学部 法律学科   教授
■ 標題
  日本国憲法における「租税」の概念と租税法律主義との関連についての試論
■ 概要
  本論文は「特集21世紀の租税観(谷山治雄先生追悼号)」のテーマにあわせ、危機的な財政状況にある日本が租税国家であり続け、基本的人権保障、なかんずく平等原則保障を維持しうる国家であり続けるためには租税法律主義の維持ないし拡充が必要であるという観点から、通説的見解によってなされる「租税」概念の定義を再検討するものである。とくに、通説的見解、さらに判例が「租税」の無償性を強調することに対して、以下の点に関連して疑念を示す。第一に、大日本帝国憲法第62条第2項の趣旨を示す明文の規定は、日本国憲法に存在しない。第二に、無償性の意味との関連において、反対給付または対価性の意味ないし範囲が必ずしも明確でない。これらのことから、日本国憲法第84条(および第30条)に規定される租税法律主義の適用範囲が狭められるという問題が生じる。以上の点を中心に論じる。
  単著   谷山財政税制研究所・税制経営研究所編集・発行 税制研究56号136~142頁      2009/09


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