モリ トシキ
  森 稔樹   法学部 法律学科   教授
■ 標題
  租税法律主義・地方税条例主義の射程距離(下)-旭川市国民健康保険条例訴訟最高裁大法廷判決の検討を中心に-(135~144頁)
■ 概要
  (上)とともに最高裁判所大法廷平成18年3月1日判決の検討を中心として、憲法第84条にいう「租税」の意義、国民健康保険料と国民健康保険税との異同、地方税条例主義の意義、そして課税要件明確主義の意義と国民健康保険料への適用の有無について検討をなす。上記判決については、国民健康保険料についても租税法律主義・地方税条例主義の趣旨が妥当するという趣旨が述べられていることもあり、評価する見解もある。しかし、租税法学においては批判的な見解も少なくない。本論文は、国民健康保険料と国民健康保険税との異同を検討した上で、保険料であっても実質的には租税そのもの、あるいはそれに近いものであり、租税法律主義・地方税条例主義が直接的に適用されるべきであることを主旨とするものである。そして、租税法律主義の内容である課税要件明確主義の趣旨が国民健康保険料の賦課要件についても妥当すべきであり、条例の規定には課税要件明確主義の観点から問題があると考える。そして、上記判決は、一応は国民健康保険料についても租税法律主義・地方税条例主義の趣旨が妥当するという趣旨を述べるものの、実質的にはこれを否定するものであって妥当性を欠くと評価する。
  単著   税務弘報第54巻第14号(2006年11月号)      2006/11


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