モリ ロミオ
  森 路未央   外国語学部 中国語学科   准教授
■ 標題
  「中国の電子商取引(E-commerce)市場における日本産食品の購入に関する調査:購入経験者の特徴に注目して」
■ 概要
  現在,我が国は食品輸出を政策的に推進している。他方,有望な輸出市場である中国では,国民所得の向上を背景に,高品質で表示への信頼性の高い,輸入食品の需要が増加している。特に,急速に発展する電子商取引(E-commerce: EC)を通じた市場動向は注目されるところであり,今後の食品の輸出拡大のためには,中国の食品EC市場における消費者像の把握と販売戦略の検討が有効と考えられる。
本稿は,中国全域を対象にしたECによる日本産食品の購入に関するアンケート調査の結果を分析し,以下の点を明らかにした。第1に,若年層,都市部の居住者,子と同居している者,高支出層,流行に敏感である者は,日本産食品の購入経験を持つ可能性が高い。第2に,日本食に対する意識として,「安全性が高い」,「味が良い」,「ステータスになる」といったイメージを強く抱くこ
とや,「値段が高い」というイメージを強く抱かないことは,日本産食品購入経験を持つ可能性を高める。また,「高くても希少な食品を購入したい」という意識を強く抱くことも,購入経験を持つ可能性を高める。第3に,今後の輸出促進策としては,都市部の富裕層などを中心に日本産食品の認知度向上を図ると同時に,高価格を維持しながら,ECプラットフォームにおいて,商品の良
いイメージ(安全性,味,ステータス・高級感,希少性など)を提供するなど,消費者の実態に合った販売戦略をとることが有効と考えられる。

  伊藤紀子・井上荘太朗・樋口倫生・石田貴士・小林弘明・森路未央
  共著   『農林水産政策研究』   農林水産政策研究所   (34),41-63頁   2021/06


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