キムラ ヨウコ
  木村 陽子   文学部 日本文学科   教授
■ 標題
  『安部公房とはだれか』
■ 概要
  マルチメディア・アートの実践者である安部公房の営為に対して、日本で初めて「リテラリー・アダプテーション」という概念によって特長づけて論じた。本書では「リテラリー・アダプテーション」という新たな観点を導入することで、安部公房の生涯にわたる創作方法の変遷過程を大きく4期に分類した。特に、1958年から71年までを「メディア五種目」(小説・映画・演劇・ラジオドラマ・テレビドラマ)時代と命名し、他の日本文学の作家とは異なる、安部公房の制作方法、および思考方法の独自性を明らかにした。また、安部自身の文章だけでなく、同時代の劇評や紹介記事、関係者からの聴き取り調査を通してその演劇活動の全容を明らかにした。特に、1950年代の安部演劇については俳優座・千田是也との共同制作的な演劇制作の過程を当時の関係者への聞き取り調査などから明らかにした。また、1970年代の「安部公房スタジオ」の演劇活動に対しては、同時代の「アングラ」演劇や新劇の状況、さらには世界の前衛演劇の動向などとの比較的視点を導入し、安部演劇の特徴、および業績を日本の20世紀演劇史のうちに位置づけた。
  木村陽子
  単著   笠間書院   1-312頁   2013/05


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