キムラ ヨウコ
  木村 陽子   文学部 日本文学科   教授
■ 標題
  砂の女を読み替える―「死と性病」の再考から-
■ 概要
  これまでの膨大な先行論の中で、暗黙裡に自明視されてきた観のある〈男の淋病の完治〉と結末部における〈女の帰還〉に対して本書では疑問を呈し、逆に〈男の淋病の不完治〉と〈女の淋病感染、その結果としての子宮外妊娠による女の不可避の死〉を前提に、新たな読みを提示した。そうした前提条件の変更により、特に近年の先行論で記述自体の欠陥が指摘されてきた結末部に対し、欠陥を前提としない読みの可能性を提示することを目的とした。その結果、『砂の女』が、肉体に躓き、肉体からの逃走を図った男が、肉体の側からの復讐を受け、最終的に肉体との和解に至る物語であるとの結論を得たもの。
  単著   『昭和文学研究』   笠間書院   58,40-52頁   2009/03


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