サトウ キリコ
  佐藤 桐子   外国語学部 英語学科   教授
■ 標題
  Relative Pronouns as Predicatives: Evidence from Shakespearean English
■ 概要
  イエスペルセンは、著書Modern English Grammarにおいて「補語位置に置かれた関係代名詞は、“neuter”と考えられるため、先行詞が人であっても必ずwhichが使われる」と述べている。この説明の根拠として19~20世紀の作品から具体例を引用しているが、それより以前の事実には言及していない。また、19世紀以前の補語位置の関係代名詞に関する研究を行った研究者はこれまでいない。本論文では、この問題を取り上げ、シェイクスピア劇全37作品を調べた結果、シェイクスピアは、『シンベリン』の中で、whomを一度だけ補語位置に使うが、それを除いて必ずwhichを使用していることが分かった。すなわち、補語位置の関係詞については、既に初期近代英語期に、現代英語の規則が確立していると考えられる。さらに、サミュエル・ジョンソンなど、18世紀にシェイクスピア作品を編纂した複数の編纂者が、『シンベリン』のwhomについて、whichに修正する、または別の表現を使って書き換えており、補語位置のwhomが容認されなかったことを示している。こうした事実から、補語位置の関係代名詞はwhichであるという規則は、初期近代英語期には既に確立しており、現代まで続いていると結論付けた。
  単著   English Studies   Taylor & Francis   98(4),368-375頁   2017/03


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