サトウ キリコ
  佐藤 桐子   外国語学部 英語学科   教授
■ 標題
  Non-restrictive Relative That in Shakespearean English: A Comparison between Romeo and Juliet and The Merry Wives of Windsor
■ 概要
  関係代名詞thatは、初期中英語頃までは、制限用法、非制限用法のどちらにも使われていたが、後期中英語から初期近代英語期にかけて、thatが非制限用法で使用されることは稀になり、制限用法に限られるようになった。本論文では、シェイクスピア作品の中から、韻文体で書かれた悲劇『ロミオとジュリエット』と散文体で書かれた喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』を調査し、『ロミオとジュリエット』には、非制限用法のthat が22例あるのに対し、『ウィンザーの陽気な女房たち』には3例しかないことを明らかにした。この二作品は、ほぼ同じ時期に執筆され、作品の長さもほとんど同じであるため、非制限用法のthatの分布状況の相違は、作品のジャンルや文体に関係する可能性がある。事実、Brook (1976)は、シェイクスピア喜劇は当時の話し言葉で書かれているのに対し、悲劇は、高尚な文体で書かれ、古風な言い回しが多いと述べている。Brookの指摘と一致して、シェイクスピアは、当時古風な言い方になっていた非制限用法のthatを悲劇でより多く使っていると結論付けた。
  単著   Studia Neophilologica   Taylor & Francis   87(1),1-14頁   2015/04


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