ツカモト マサフミ
  塚本 正文   社会学部 社会学科   教授
■ 標題
  スリランカで導入された支出税制度に対する評価
■ 概要
  1960年および1976年にセイロン(スリランカ)では所得税と個人税をあわせた税制改革が実施された。本論文ではこのときスリランカで新たに導入された贈与税、相続税と支出税の 3 税で構成される個人税の中の支出税部分を主たる研究の対象としている。同国における支出税の制度設計を、当時の文献にあたりながら明らかにするとともに、それが 発案者のKaldor による支出税の理念とスリランカの政治家や税務当局の導入意図の間で揺れながら、徴税現場にどのような影響を与えたのかを評価しようと試みている。その中で、支出税で控除とされる支出項目について実際の税制とKaldor 提案との比較を行うだけでなく、当時の納税者に配布された納税申告書を使いスリランカの支出税の税額計算方法についても確認をしている。そして、本論文は当時の制度設計が、基本設計を担当した Kaldor も予想しなかった行政の徴税および管理能力の大幅な負担増をもたらすものだったことを指摘しつつ、それでもスリランカでの実施例は、先行するインドに比べて税率設定や控除項目の設定においてKaldor 提案により忠実となるよう実施にこぎつけたことを、理論的・制度的に評価した。
  単著   大東文化大学紀要   (56),225-239頁   2018/03


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