ツカモト マサフミ
  塚本 正文   社会学部 社会学科   教授
■ 標題
  観光地と地方税収に関する研究 : 別荘の多い市町村の固定資産税収について
■ 概要
  一般的には、人口が多く産業が発展した都市型の市町村の方が地方税収は大きいとされてきた。ところが、本論文では、別荘やセカンドハウスが多ければ、郊外型の市町村でも安定した税収が確保できることを明らかにした点が貢献である。
まず、別荘やセカンンドハウスが多い市町村は、固定資産税収入が高い傾向を把握した。加えて、市町村の住宅地・商業地の地価が特に高いことを要件とせず、別荘やセカンドハウスからの固定資産税が多いほど財政力指数が高い傾向であることも確認した。また、今回の市町村への調査 で、別荘やセカンドハウス所有者の滞納率が低いことも確認でき、安定した収入になっていることもわかっている 。
以上のことから、保養地や観光資源のある郊外の市町村では別荘やセカンドハウスを積極的に受け入れることで、将来的に固定資産税収入による安定した税収を期待できる。今後の働き方に対する改革が進めば、長期休暇や週末滞在というセカンドハウス的な位置付けや、ビデオ会議の活用やリモートワークによる半定住といった利用も見えてくる。この研究成果から、こうした市町村の税収安定が進めば、観光振興を含めた積極的な行政サービス展開と、それに伴う市民の生活基盤強化や満足度上昇に結びつくことも期待される。

  単著   社会学研究所紀要   (2),61-75頁   2021/03


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