メシツカ ユウスケ
  飯塚 裕介   社会学部 社会学科   准教授
■ 標題
  日常と非日常の自転車活用― 宇都宮市における自転車まちづくりの変遷 ―
■ 概要
  2021年5月に閣議決定された「第2次自転車活用推進計画」では、サイクルツーリズムなどの「非日常の自転車活用」を推進する方針が打ち出された。こうした国の動向を踏まえて、本論では国内における「自転車まちづくり」の先頭を走る自治体の1つである宇都宮市を対象に、自転車まちづくりにおける「非日常の自転車活用」へのアプローチのあり方を整理・分析した。
その結果、初期の計画は日常生活の移動手段としての自転車利用を推進する内容が中心であったが、後期の計画では観光・レジャーなどの非日常の自転車利用も意識した施策が取り入れられるようになっており、「日常の自転車活用」から「非日常の自転車活用」へと段階的に転換を遂げて来たことが明らかとなった。
具体的には、2002年に策定された「宇都宮市自転車利用・活用基本計画」では、通勤・通学や買い物など日常生活の移動手段としての自転車利用を推進するため、自転車走行空間の整備や駅前駐輪場の確保などが重点施策として盛り込まれていた。 2010年の「宇都宮市自転車のまち推進計画(前期計画)」でも同様の日常利用を推進する施策が中心だったが、自転車レースの誘致や観光PRなど非日常の自転車利用への着目もうかがえた。 そして2016年の「宇都宮市自転車のまち推進計画(後期計画)」からは、観光客向けのサイクリングロード整備など非日常利用を直接的に推進する施策が盛り込まれるようになり、2021年の「第2次宇都宮市自転車のまち推進計画」では、日常利用と非日常利用の双方を推進するバランスの取れた計画となっていた。

  飯塚 裕介
  単著   社会学研究所紀要   大東文化大学社会学研究所      2024/03


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