A.R. ウルック
  A.R. ウルック   国際関係学部 国際文化学科   准教授
■ 標題
  Reading the Truman Show as a Metaphor for Contemporary Japanese Society
■ 概要
  パラマウント映画が 1998 年に公開した『トゥルーマン・ショー』 The Truman Show(TTS) ほど、学術的な注目を集めた現代のハリウッド映画はほとんど無い。主流のハリウッド ポップコーン映画とアカデミックな読者向けの映画テキスト (texte lisible) の中間に位置するこの無意識で預言的な映画は、一連の映画のなかで興味深い場所を占めている。現代映画の多くは観客に熟考と解釈の機会を提供するが、TTS は他のポストモダン映画とは一線を画している。それは、(表面的なレベルでの) 解釈だけでなく、より重要な深い「読み」(reading)の可能性に観客を引き付けているからである。 TTS は、主題固有の視点に応じて多くの潜在的な読み方を提供する、真に読みごたえのあるテキストであると言える。現在、この映画に関する批評文献は非常に限られた特定の読み方、特に都市生活と無意識/潜在意識のテーマに限定されている。しかし、過去 20 年間日本に住み、働いてきた外国人居住者である筆者にとって、この映画はまったく異なる読み方を提示している。すなわち、筆者の視点から見ると、この映画は、グロテスクなパロディであると同時に痛烈な批判であるという点で、(ポスト) ポストモダンの日本を象徴する暗い諷刺に他ならない。この論文では、映画にコード化された 5 つの中心的なテーマ (島のメンタリティ、他者への恐怖、機械的パフォーマンス、人間の相互作用の遂行的性質、および人間の無知) の導管を介して、現代の日本社会と TTS との類似点を探る。筆者は、これらの点を 1 つずつ取り上げ、それらを現代日本に当てはめ、それらの関係を解体してから、集合体として議論する。
  A.R.ウルック
  単著   大東アジア学論集   23,49-78頁   2023/07


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