A.R. ウルック
  A.R. ウルック   国際関係学部 国際文化学科   准教授
■ 標題
  COVID+: The upside of COVID-19 in Japan - an extended photo essay
■ 概要
  COVID-19すなわち新型コロナウィルスの影響、とくにその文化的インパクトは、この感染症の流行が長期間にわたるものとなったために、今や世界中の人々の思考や会話を独占する最大の関心事となっている。当初は、容易に制圧できる局地的なアジアのインフルエンザと捉えられていたこの感染症は、実はもっと、さらにもっと恐ろしいものとして、その正体を現したのであり、それはほぼ誰も予測不可能なほどのレベルのものとなった。しかしながら、とても信じ難いかもしれないが、この3年間の長きにわたる疫病の世界的蔓延は、日本において全面的に否定的な経験だったとは言えないのである。政府の疑問の残る対応ぶりや中小企業への壊滅的な打撃にもかかわらず、多くのレンズを通して見ると、「コロナ効果」は、直接的にも間接的にも、多くの恩恵を日本社会にもたらしたのである。この小論では、筆者が2019年以来観察して来た中で、直接コロナに由来すると思われる良い効果、顕著にプラスの影響が見られる分野として、「健康と衛生」並びに「社会と文化」に注目する。本稿の目的は、一見否定的なパンデミックの作用が、とくにミクロのレベルで、いかに一連の肯定的な影響を現代日本社会と日本の市民に及ぼしているかを探究することにある。本論文は、日本で直接撮影し収集した一次写真資料に、文脈に沿ったコメントと概観を付して提示するものであり、長文フォト・エッセイの体裁をとっている。さまざまな理由からこの形式を採用したのだが、中でも重要なのは、同時代のスナップショットを提示することにより、それに照らして、将来の発展あるいは退廃を評価することを可能にしたいと考えたためである。私たち人間は、あまりにも忘れっぽい存在だから。写真に続いて、歴史的・社会的な考察と議論の部分があり、最後に結論を述べる。
  A.R.ウルック
  単著   大東アジア学論集   23,27-48頁   2023/07


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