A.R. ウルック
  A.R. ウルック   国際関係学部 国際文化学科   准教授
■ 標題
  受容から拒絶、そして冷淡へ−−三映画作品に読む日本社会の変容
■ 概要
  本稿は、1957年から2003年にかけての46年間に、時を隔てて制作された三篇のハリウッド映画Sayonara (1957)、Black Rain (1989)、Lost in Translation (2003) を取り上げ、そこに描かれた日本社会の表象について検討する試みである。この三映画作品における中心主題、登場人物、社会規範を詳細に読み解いてみると、各作品が、日本および日本らしさの観念を、それぞれ独特の場と枠組の中に位置付けていることは明らかである。この立場からすれば、日本および日本らしさの観念の描写と解釈が、―それはアメリカのハリウッド映画によるものであって、日本自身によるものでないとはいえ―、時間の流れとともに大きく変化したことが容易に見て取れる。この三作品に見られる変化は、二つの文化(アメリカ文化と日本文化)のあいだの距離、すなわち実感された距離あるいは相互の距離に大幅に影響を受けてきていて、それぞれの映画を、年代順に、受容・拒絶・冷淡をあらわすものとして位置付けることができる。本論では、まず個々のテキストとしての相対的な位置をはっきりさせるため、各作品について注釈をつけ、読み、評言を付した。次に、この三作品を、一つの共通テーマ(日本)をめぐって、長い時間枠の中で構築されたひとまとまりの集合的総体としてとらえて、比較、対照、検討し考察した。最後に、これらの映画の背景にある現代日本社会と日本の文化的アイデンティティーの概念を踏まえつつ、この三作品が表現し構築した世界の核心について検討し、結論を導いた
  A.R. WOOLLOCK
  単著   大東アジア学論集   (22),10-30頁   2022/05


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