ウスイ アツミ
  臼井 淳美   スポーツ・健康科学部 看護学科   准教授
■ 標題
  産後1カ月及び3カ月の高年初産婦の心身の健康状態と妻が満足と感じる夫の関わりに対する夫婦の認識
■ 概要
  目的:産後1カ月及び3カ月の高年初産婦の心身の健康状態と妻が満足と感じる夫の関わりに対する夫婦の認識を明らかにする。方法:研究デザインは質的記述的研究である。高年初産婦の夫婦8組を対象に産後1カ月と3カ月の高年初産婦の心身の健康状態と,妻が満足と感じる夫の関わりに対する夫婦の認識について,調査票と半構造化面接により収集したデータを質的帰納的に分析した。結果:1. 高年初産婦の心身の健康状態は,産後1カ月は【妊娠・出産の影響に伴う身体的・精神的回復の遅れ】や【不慣れな育児や児の生活リズムに合わせることへの身体的・精神的負担感】,産後3カ月は【高年齢に伴う慢性的睡眠不足と疲労感】を抱く一方,【母児に適した母乳育児と生活リズムの安定】や【高年齢ゆえの精神的な心の余裕】が生じていた。</p><p>2. 妻が満足と感じる夫の関わりは,夫婦共通の認識と異なる認識があり,産後1カ月は【不慣れで不規則な育児に伴う妻の心身への気づかい】【試行錯誤による夫婦の家庭内役割の協同】【育児を通して育まれる夫の父親としての態度】,産後3カ月は【生活リズムの安定と精神的な余裕を踏まえた妻の心身への気づかい】【安定した夫婦の家庭内役割の協同】【育児を通して充実する夫の父親としての態度】であった。結論:高年初産婦は,産後1カ月は心身の回復の遅れや育児の負担感,産後3カ月は慢性的な睡眠不足や疲労感を感じる一方,育児と生活リズムの安定と高年齢ゆえの精神的な余裕を認識していた。妻が満足と感じる夫の関わりは,妻の心身への気づかい,夫婦の家庭内役割の協同,夫の父親としての態度であった。特に,妻の心身への気づかいは夫婦で異なる認識が認められ,夫婦の認識の一致が得られ難いといえる。妻の心身の健康状態を安定に保つには,夫婦の良好なコミュニケーションと意識の共有を図り,妻が満足と感じる夫の関わりを高めることが重要である。
  中島久美子、早川有子、臼井淳美
  共著   日本助産学会誌   日本助産学会      2021/12


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