ヤマモト ヒロキ
  山本 宏樹   文学部 教育学科   准教授
■ 標題
  統治・自律・民主主義:パターナリズムの政治社会学
■ 概要
  本書が主題とするパターナリズムは者の利益を擁護しようとする善意に基づいて行われる他者の自由への干渉」であり、一般に自己決定権と鋭く対立するものとみなされている。そして医療とともにパターナリズムの典型として位置づけられるのが教育である。しかし、自己決定とパターナリズムは常に背反であろうか、というのが本書のモチーフである。拙稿「『向かい火』としてのパターナリズム:ピエール・ブルデューと民主主義」は、近代学校批判の文脈を踏まえ、教育的パターナリズムを「民主主義のた
めの向かい火=必要悪」として過不足なく評定しようとする試みとして位置づけられる。具体的にいえば、1960年代から70年代にかけて、学校による社会的不平等の再生産構造を告発したことで教育学・社会学に大きなインパクトを与えたフランスの社会学者ピエール・ブルデューの遺した31の著作からパターナリズムに関連する断片を掻き集め、「文化的不平等の社会学の上に成り立つ教育学」の可能性とその要件を描写したものである。

  監修: 宮台真司、[著者]鈴木弘輝、堀内進之介、稲葉年計、大河原麻衣、木矢幸孝、神代健彦、山村和世、山本宏樹
  共著   NTT出版      2012/09


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