ハギワラ モトヒロ
  萩原 基裕   法学部 法律学科   教授
■ 標題
  特定物売買における代替物の引渡しによる追完の可否に関する検討
■ 概要
  本稿は、いわゆる特定物売買においても代替物の引渡しによる追完が可能かどうかを検討した。562条では追完の方法を目的物の種類(種類物か特定物か)によって分けておらず、また法制審議会における議論からは、目的物が種類物であると特定物であるとを問わず、買主の選択した方法による追完が請求できることがわかる。しかし目的物が特定物である場合には、当事者はまさにその目的物の特性・個性に着目して目的物としたところ、概念上、そもそも代替物が存在せず代替物による引渡しはできないのではないか、という疑問が生じる。そこで本稿では、この問題についてすでに議論の蓄積のみられるドイツ民法の学説判例を参考に、目的物が特定物であるか種類物であるかを基準とするのではなく、当事者の合意内容から目的物の代替可能性の有無を導くべきとの結論に至った。
  単著   大東法学   大東文化大学法学部法政学会   30(2),83-118頁   2021/03


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