ハギワラ モトヒロ
  萩原 基裕   法学部 法律学科   教授
■ 標題
  無償契約における責任制限法理の検討
■ 概要
  本稿は、民法典において債務者の責任が制限される場面の一つとしての無償契約を扱い、同契約における責任制限の本質と射程を明らかにすることを通じて、無償契約における責任制限法理を解明することを目的としている。無償契約債務者という契約から利益を得ない当事者の責任を制限するという考え方は、古くはローマ契約法にもその端緒を見取ることができ、またそれが後期ドイツ普通法を経、現行のドイツ民法典へとかたちを変えつつ受け継がれていった。また、日本民法典のみならず、独仏民法典においても同趣旨の規定が置かれているが、その態様や制限の程度ついては差異もみられる。これら歴史的検討・比較法的検討を通じ、無償契約債務者は一般に、債権者の履行利益を侵害する限りでは責任を制限されてよく、それは無償給付という特性と債権者の履行利益取得という期待が正当でないことを理由とし、過失相殺法理によって賠償額の減額という意味での一般的責任制限法理が存するとの結論に至った。
  単著   大東文化大学法学研究所報   (34),1-9頁   2014/03


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