ハギワラ モトヒロ
  萩原 基裕   法学部 法律学科   教授
■ 標題
  無償委任契約における受任者の責任法理―ドイツ委任法における受任者の責任制限法理を中心に―
■ 概要
  本稿は、日本における無償委任契約の受任者の責任構造について扱うものである。日本民法典では、委任契約は有償の形態と無償の形態とが認められているところ、有償委任と無償委任とで受任者の義務や責任に際を設けるような規定は存在しない。他方で学説では、無償契約の特徴である債務者の責任制限という法理を指摘して、無償委任でも受任者の義務や責任を軽減するべきとの意見がある。そこで本稿では、無償の委任のみを承認し、受任者の責任制限を志向する学説の存在するドイツにおける議論状況を参照しつつ、無償契約受任者の責任構造はどうあるべきかを検討した。結論として、経済社会たる現代では圧倒的に有償委任が重要であること、対して無償委任はほぼ経済的意義を失っていることから、とりわけ責任の効果、損害賠償の範囲に関して有償契約との差異を認めるべきと見解に至った。
  単著   村田彰先生還暦記念論文集―現代法と法システム   363-376頁   2014/12


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